【コラム】Willに縛られず、Canを磨く

キャリア相談にのっていると、「どうやってやりたいことを見つければいいですか」と質問されることが多くなった。若い頃は可能性が無限大にあり、自分に何があっているのか、決められない。そんな感覚かもしれない。

それに、多くの人は必ずしも(やりたい)仕事軸ではなく企業軸で就職している。入社すると、大手企業などはまだまだメンバーシップ型で、ジョブローテションで、営業、カスタマーサービス、人事、経理など、いろんな業務を任されては、ようやく仕事が面白くなってきたと思ったら、次の部署で異動する。

だから、30代、40代になっても「やりたいことがない」というビジネスパーソンが非常に多い。この年代は要職に就いているため、責任によるプレッシャーから、次第にやりがいことが、トラウマのごとく、頭の奥底に二重、三重の鍵をかけられ、封印されてしまう。あるいは、夏の甘酸っぱい思い出のように、遠い記憶として置き忘れられてしまい、思い起こそうにも、錆びついた記憶はなかなか戻らない。

そんなときは、「やりたいこと探しよりも、できること磨き」に専念したほうがいい。私の話で恐縮だが、フリーランサーになって18年。今でこそライターを標榜しているが、昔からやっているわけではなく、必要性に駆られてやりはじめたのだ。

会社員時代もそうだが、元々は制作ディレクターとして活動していた。案件でコピーが必要だが、納期が短く、外部のライターに依頼できないことが続き、自らで書き始めた。それを続けているうちに、トーン&マナーや、さまざまな書き味や文体を工夫しているうちに、ライティングでできることが増えてきて、いつしか個別に執筆・取材依頼がもらえるようになってきた。ライターの仕事だけで食えるようになったのは、やり始めて5年ぐらいしてからだ。

そのときに思ったのは、腹をくくってやること。これに尽きる。「本業は他にある」「どうせディレクターだし」と思っているうちは、相手が納得してくれる成果物は納められない。この気持ちさえ失わなければ、なんとか道は切り拓けるものだ。

Chat GPTが世の中を席巻する時代だ。ライターの経験だけでは、もはや生き残れないかもしれない。それなら、いろんなCanをつくることだ。くよくよ悩んでいる暇はない。サバキャリ(自分のキャリアでサバイブする)するなら、今すぐスタートしよう!

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